文字どおりの静寂に包まれたリングで、大歓声を感じ取って戦う。そんなK―1選手がいる。郷州征宜さん(32)。先天性の難聴だ。「あきらめてしまうクセ」を人気格闘技で乗り越えてたどりついた王者への返り咲きを目ざす。
試合のリングはいつも「無音」だ。ファンの声援もセコンドの指示も、聞こえない。
先天性の難聴で、両親もろう者。子どものころはいじめられ、よく泣いた。「言葉では言い返せず、あきらめてしまう。そういうクセが染みついていた」。そんなとき、テレビで人気の格闘技大会「K―1」に出会った。
自分を変えたいと都内のキック…