食卓に欠かせない「しょうゆ」。ふつうは大豆や小麦で作るが、そのどちらも使わない新タイプを開発した。原料に使うのは、海苔(のり)だ。
きっかけは、横浜の研究所にいた20年ほど前。実験に使った海藻のアオサを、冷蔵庫に入れたまま忘れてしまった。発見したのは1年半後。容器の中の海藻は「茶色いドロドロ」に姿を変えていた。
「ああ、腐っちゃった。捨てなきゃ!」
流し台に、半分ほど捨てた。そのとき、おやっと気づいた。ワインのような甘くフルーティーな香りが漂ってくる。
「これは何かに使えるかもしれない」。そう直感した。海藻を発酵させて、暮らしに役立てる――。そのアイデアは、ずっと頭の片隅にあった。
2002年、水産研究・教育機…