欧州連合(EU)の欧州議会は4日、父親に産前産後休暇を最低10日間取れる権利を与える新規制案を賛成多数で可決した。両親それぞれに認められていた育休4カ月のうち、2カ月の所得補償も義務づける。女性の育児負担を減らし、社会進出を促すのが狙いだ。
新規制は「ワーク・ライフ・バランスに関する指令」。加盟国は3年以内に指令に応じて法制化する必要がある。父親の産休について、少なくとも病欠時と同程度の所得補償を加盟国に義務づける。育休の所得補償のレベルは加盟国にゆだねる。性別に関係なく、すべての労働者に介護を理由に年5日間休む権利も新たに設ける。
EUの行政機能を担う欧州委員会によると、EU内でフルタイムで働く女性の割合は57・4%で、男性の75・5%と大きく差がある。子どもがいる女性がパートタイムを選ぶケースが顕著だとしている。欧州議会のリポート(2015年)によると、父親の育休取得率も、平均で10・1%(調査できた23カ国)にとどまる。欧州委は、男女の雇用機会の差による経済損失は年間、3700億ユーロ(46兆2500億円)に上るとみている。
ただ、規制の影響を心配する声…