「3K(きつい・汚い・危険)」のイメージが強かった警察の現場が変わろうとしている。マイナスイメージを拭い、採用増につなげようと「働き方改革」に取り組んだ大分県警。結果的に犯罪や交通事故の減少という「思わぬ副産物」も生まれている。
3月上旬、県警本部警務課。当直を終えた職員の机の上には「当直明けです」と書かれた黄色いのぼり旗が置かれていた。午後に帰宅することを職場内に周知させる狙いがある。
県警では各部署でこうした取り組みが浸透してきている。昨年、積極的な業務改善に取り組んだのが、大分市中心部を管内に持ち、事件事故の発生数が県警全体の四分の一を占める大分中央署だ。昨春着任した中津留三次署長は、前年度まで組織をつかさどる警務部のナンバー2で働き方改革の旗振り役を務めていた。就任当初から、県警最多の人員約300人を抱える署で働き方改革を始めた。
まず始めたのが、パトカーが赤色灯をつけて巡回する「キラキラ作戦」。事故の多い交差点を分析し、警察官の姿を見せて警戒することも徹底した。事件や事故を予防することで、人と時間の余裕を作り出そうという発想だった。
合言葉は「最小限の力で最大限の効果」。通常業務も見直し、週1回の幹部会議を原則隔週に。文書作成に時間が取られないよう連絡をメール配信などで簡素化したり、各係の仕事を課全体で共有して分担したりした。また、幹部が率先して定時退庁や代休取得をすることで、部下の残業削減も図った。
当時の佐藤浩二副署長は「幹部が変われば、部下や組織が変わる。時間と人員の余裕が生まれたことで、大きな事件や事故の発生時に元気な人材を集中投入できるようになった」と振りかえる。同署管内の昨年の刑法犯認知件数は24%減の約900件。人身事故も前年比で75件減ったほか、特殊詐欺や死亡事故の発生件数も軒並み減少した。
今春、退官を迎えた中津留署長は「治安を維持向上させながら、職員のワーク・ライフ・バランスも保つことができた。県警全体にもさらに広がってほしい」と話す。
県警によると、県警の働き方改…