天皇の代替わりに伴う皇室行事「大嘗祭(だいじょうさい)」(11月14、15日)に向け、麻織物「麁服(あらたえ)」に使う麻の種まきが9日、徳島県美馬市であった。
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麁服は神に献上する衣服の一つで、麻を織った反物。大嘗祭では、絹織物の「絵服(にぎたえ)」と合わせて神座に置かれる。古くから麁服は阿波国(徳島県)、絵服は三河国(愛知県)から献納された物が使われてきたとされる。献納は14世紀中ごろの南北朝時代にいったん途絶えたが、大正天皇の代に約580年ぶりに復活。昭和と平成の大嘗祭でも献上したという。
麁服を手がけるのは古代の職能集団「阿波忌部(いんべ)」直系の三木家。当主の三木信夫さん(82)にとっては2度目の献納となる。この日、三木さんは白装束に身を包んで、地元の三ツ木八幡神社の門家茂樹宮司らと神事をし、畑に種をまいていった。
今後、地元のNPO法人「あらたえ」のメンバーらが厳重に管理しながら栽培し、約100日後に収穫する予定。8月には繊維から糸を紡ぐ「初紡ぎ式」がある。その後、同県吉野川市の山崎忌部神社で麁服に織り上げられる。(福家司)