9日に告示された衆院沖縄3区補選には、玉城デニー知事を支える「オール沖縄」勢力が推すジャーナリストの屋良(やら)朝博(ともひろ)氏(56)と、自民公認で公明が推薦する元沖縄北方相の島尻安伊子(あいこ)氏(54)が立候補した。米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設については、主張がはっきりと分かれた。
沖縄市で出発式に臨んだ屋良氏は、第一声で「私は普天間の問題を熟知しております」と、地元紙記者やフリーライターとして基地問題を取材してきた経験をアピール。辺野古に移設しなくても、普天間飛行場の危険性は除去できるとして「この普天間の問題、米軍基地の問題をクリアしないと明るい未来に進めない」と訴えた。
3区で衆院議員を務め、屋良氏の擁立に関わった玉城デニー知事も並び、「争点は辺野古移設問題に尽きる。ウチナーンチュ(沖縄の人)の民意をこの選挙で確認するということにほかならない」と強調した。
屋良氏の演説を聴いた沖縄市の無職湧川(わくがわ)勝美さん(71)は「県民投票で示された『辺野古はダメ』という民意を政府に無視されている今こそ、基地問題をしっかりわかっている人が国会に必要だと思う」と期待を込めた。
島尻氏は、沖縄市の交差点で出陣式を開いた。参院議員として沖縄振興に携わった経験を挙げ、第一声で「中北部の港を整備して大型クルーズ船をさらに誘致し、新インターチェンジをつくるなど交通整備を進めたい」と訴えた。
米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設計画については容認する姿勢を示し、「将来、民間でも使える可能性を模索していきたい」と話した。
出陣式には、自民党国会議員や、公明党、日本維新の会の議員らが顔を並べた。選対本部長を務める沖縄市の桑江朝千夫(さちお)市長は「子どもの貧困対策などの実績がある。課題を解決できる政治家を選ぼう」と力を込めた。
第一声を聞いた沖縄市の会社員仲宗根昌博さん(43)は「国とのパイプを持つ島尻氏なら、振興予算の確保などで尽力してくれる」と期待感を示した。