政府は9日の閣議で、北朝鮮に対する独自制裁のうち、13日に期限が切れる北朝鮮籍の船舶の入港禁止や、輸出入の全面禁止などの措置を2年間延長することを決定した。核・ミサイル問題や日本人拉致問題の解決に向けた日本独自の交渉カードとして制裁の維持が必要と判断した。
菅義偉官房長官は閣議後の記者会見で「国際社会と緊密に連携しながら、核・ミサイル、拉致問題の解決に向けて全力を尽くす」と強調した。
昨年以降、米国と北朝鮮の交渉が本格化したが、核や拉致問題は実質的に進展していない。政府は3月、国連人権理事会への非難決議案の提出を見送った。「拉致問題解決に向けた突破口を開くためのメッセージ」(外務省幹部)を送る狙いだったが、日本政府関係者によると、北朝鮮からの反応はないという。菅氏は「全体を注視し、何が最も効果的かという分析の下に対応していきたい」と述べ、北朝鮮側の出方を見守る考えを示した。
拉致問題担当相を兼務する菅氏は5月に訪米して、拉致問題解決に向けた日米連携を確認する予定だ。(鬼原民幸)