この春、北九州地区の2人の男子中学生が県内の高校に進学した。深夜に遊び回って警察の世話になることも多く、学校の勉強にはついていけていなかった。支えたのは、木曜の放課後、2時間の授業だった。
2人が夜遅く出歩くようになったのは中1から。ゲームセンターやカラオケに立ち寄ったり、遠出して朝まで話したり。騒いでいたら通報され、逃げ切れることもあれば補導されることも。特に理由はない。仲間と一緒にいる時間が楽しかった。
危機感が生まれたのは3年になるとき。仲がよかった一つ上の先輩4人全員が高校に行かず、建設会社などに就職した。「ちゃんと高校行きたいな」。だが宿題など提出したことはなく、学校の授業は何をやっているかわからなかった。
まだ間に合うという根拠のない自信が揺らぎはじめた昨年の9月、県警折尾署が2017年度からはじめた県内唯一の学習支援プログラムで、福岡大のボランティア、矢野裕香さん(19)と出会った。地元の公民館で、2対1の課外授業が始まった。
主に取り組んだのは得意な数学と社会。初めて買った問題集を、自分で「ここまで」と決めて解いていった。埋める必要はなく、空白でも「矢野っち」が教えてくれた。解説に戸惑う矢野っちをいじったり、解答を見せて教え合ったりする2時間。途中休憩を忘れることもあった。
学校生活も変わった。
放課後に勉強していたら、それ…