栃木県内で流れている交通安全のテレビCMが話題だ。道路越しに向かい合う男女が目の前の横断歩道を渡ろうとするが、次々とやってくる車は全く止まる気配がない。2人は「ゆか!」「せいや!」と、互いの名前をひたすら叫び続ける。でも、渡れない。終盤に「横断歩道は歩行者優先」という文字が、デカデカと表示される。
CMは栃木県交通安全協会が発注。4月から地元の「とちぎテレビ」で放映され、栃木県警のホームページでも紹介している。
きっかけは昨年、日本自動車連盟(JAF)の調査で、栃木が「信号機のない横断歩道で止まる車が全国で最も少ない県」とされたことだ。JAFの調査によると、栃木は一時停止した車が0・9%と全国平均(8・6%)を大きく下回り、全国ワースト1位だった。
一時停止は道路交通法で定められており、違反は事故を招きかねない。このため県警や交通安全協会は昨秋から広報活動を強化。動画もその一環として撮影された。
「とにかく車が止まらない」というシュールな内容だが、インパクトは抜群。県警交通企画課の担当者は「目で訴えると効果が出やすい。必要があれば第2、3弾も」と話す。(若井琢水)