訴訟合戦を繰り広げてきた米アップルと米クアルコムが突然、和解を表明した。高速通信規格「5G」向け半導体の早期の調達が見通せていなかったアップルが、クアルコムから供給を受ける方向に転換した。一方、インテルはスマホ向け5G半導体からの撤退を表明。米IT大手の構図が大きく動いた。
「クアルコムとアップルは本日、両社が世界で起こしている訴訟をすべて取り下げることで合意した」
今月16日午後、両社が発表した共同声明は、米市場を駆け巡った。クアルコムの株価は2割強も値を上げる一方、アップルの株価はほとんど変わらず、「クアルコムの実質勝利」との受け止めが広がった。
両社はもともと、アップルのiPhone向けに、クアルコムが通信関連の半導体を供給する協力関係にあった。ところが、アップルが通信半導体の一部を2016年にインテル製に切り替えたことでクアルコムと対立するようになった。
17年初めにアップルが「クアルコムは独占的な地位を使って、ライセンス料をとり過ぎている」と提訴。その夏、クアルコムが「アップルは当社の技術を違法に使って特許権を侵害している」と反訴し、訴訟合戦は世界各地に広がっていった。
両社は16日、訴訟取り下げのほか、アップルがクアルコム側に金銭を支払う一方、6年間のライセンス契約を結ぶことも発表した。金銭の額は明らかにしていない。合意には、ライセンス契約を2年延長するオプションのほか、「複数年にわたる半導体の供給」も含まれているという。
両社は和解に至った理由を公表…