福岡ソフトバンクと横浜DeNAでプレーした元プロ野球選手、井手正太郎さん(35)が、出身地の宮崎県産のマンゴーやメロンを売る会社を立ち上げた。扱うのはブランド認定された1級品ではなく、値がつきづらいB級品。けがの多かった自身の選手時代と重ね合わせている。
「宮崎県外の市場に出回る果物が『レギュラー』だとしたら、僕らみたいな『控え』の果物の方が圧倒的に多いんです」
DeNAの本拠地、横浜スタジアム(横浜市)にほど近いビルにある会社事務所。井手さんは手にしたマンゴーの表面についた小さな傷を指でなでながら話した。
この傷ひとつで宮崎県のブランドマンゴー「太陽のタマゴ」には認定されない。都市部に運ばれ「1玉数万円」のような値がつくのは、味だけでなく、見た目や形の良さも兼ね備えたごく一部のマンゴーだ。
ここにレギュラーと控えの間で苦悩した自分の姿を重ねる。打撃を武器に日南学園(宮崎県)から2002年に福岡ダイエー(当時)にドラフト8位で入団。2年後に外野手として1軍デビューするも直後にけがに見舞われた。何度も1軍復帰を果たすが、そのつどけがに泣かされ、1軍定着はならなかった。
「呪われているかと思っていた…