Q 将棋のプロが勝負する最高峰の「名人戦」で、珍しい「引き分け」があったそうだね。
【名人戦詳報】豊島二冠の封じ手は5六歩 本格的戦いへ
A 将棋の世界で「千日手(せんにちて)」というんだ。佐藤天彦名人(31)に豊島将之二冠(28)が挑戦中の名人戦七番勝負の第1局で、初日に千日手になった。名人戦では16年ぶりだ。普通は2日間かけて勝負するけど、初日が引き分けで2日目に再試合(指し直し)という珍しい展開になった。結局、豊島二冠が勝ったよ。
Q なんで千日手というの?
A 千日経っても勝負がつかないから、と言われているよ。
Q なるほどね。
A 駒の配置や次に指す番が全く同じ状態が何回も続くと戦いが終わらないから、勝ち負けをつけずに終える。連続王手の場合をのぞいて4回現れると成立するよ。
Q どういう場合に千日手になるのかな。
A 一つはどちらか仕掛けた方が、かえって不利になるという状況で、様子見が続くケースだ。あるいは一方が攻め、もう一方が受けている状況で、手を変えた方が負けそうだと両者が判断する場合もある。今回はこちらだったね。
Q 再試合でやり直す方が嫌じゃないの?
A 優勢な方が千日手を避けることも多い。でも一手の甘い判断でひっくり返るのが将棋の怖いところ。お互いに譲れないことも多い。将棋連盟によると、プロの公式戦は毎年3千局ほどあって、40~60局程度が千日手になっている。
Q 名人戦での千日手の記録はどうかな。
A 16年前には羽生善治竜王が千日手と再試合を経て、森内俊之名人を破ったんだ。加藤一二三十段が中原誠名人からタイトルを奪った時も、二つの対局が千日手になったよ。波乱の出だしとなった今期の名人戦はどんな戦いになるのか、楽しみだね。(村上耕司)