創設70周年を迎えた中国海軍が、山東省青島市沖の海上で23日に開いた国際観艦式は、日米で対応が分かれた。
国際観艦式は10年前の60周年に続いて2回目となる。習近平(シーチンピン)国家主席が掲げる「世界一流の海洋強国」の実現に向けて、海軍力の増強を内外に誇示した。
雨の中、空母「遼寧」など艦艇32隻と、戦闘機や爆撃機39機が参加。アジア最大級を誇る排水量1万トン級の055型大型ミサイル駆逐艦や攻撃型原子力潜水艦などが初めて公開された。大連で建造中の初の国産空母は参加しなかった。
観艦式には前回の29カ国を上回る61カ国の代表団が招待され、日本、ロシア、インド、韓国など13カ国の艦艇18隻も加わった。招待国を大幅に増やした背景について、張ヨウ・海軍研究員は記者団の取材に「中国の国際協調姿勢を示すものだ」とアピール。習氏も観艦式に先立つ各国代表団との会見で「各国海軍は海洋の平和と秩序を守るため、共に手を携えなければならない」と訴えた。
日本は山村浩海上幕僚長が参加したほか、護衛艦「すずつき」を派遣。幕僚副長の参加にとどめ、艦船を出さなかった前回より対応を格上げした。海自艦船の中国訪問自体も8年ぶりだ。
海自幹部は「交流は日中双方にプラス」と評価する一方で、東シナ海での緊張が続く状況から「中国への警戒を緩められるはずはない」とも分析した。
前回の観艦式で軍幹部や艦船を派遣した米国は、日本とは対照的に中国駐在の武官のみが参加した。台湾や南シナ海で中国との対立が強まっていることが背景にある。張氏は「世界の海洋安定に中米関係は重要だ。我々は対等な関係での米国との協力を望む」と語った。(冨名腰隆=青島、古城博隆)