熊本市中央区のJR豊肥線の平成駅には、朝から大勢の人々が押しかけた。駅名を表示した看板の前で記念撮影したり、「平成駅」と印字された入場券を購入したりして、思い思いに過ぎゆく時代を記録にとどめていた。
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周囲は広大な田畑を宅地造成した新興住宅地。1991(平成3)年に年号にちなんで「平成」という地名に。駅は人口の増加を受けて翌92年に開業した。JR九州によると、2017年度の乗客数は1日平均1074人。普段は朝夕の通勤・通学時間帯以外は閑散としている。
30日は午前7時35分に窓口が開くのを前に、平成最後の日付と駅名が記された入場券を買い求める50人以上が行列を作った。到着する列車の乗客で行列は途切れず、駅員や駆けつけた警察官が警戒にあたった。
一番乗りは東京都葛飾区の倉持健治さん(54)で、「このために熊本に来た。10枚買ったので子供たちへのお土産にしたい」。三重県四日市市の黒川雄太さん(30)は1988(昭和63)年生まれ。登山目的で熊本に来て、偶然平成駅の存在を知ったという。「ぎりぎり昭和生まれなので、三つの時代をまたぐことになる。なんだか年をとった気分です」と話した。(大畑滋生)