岩手県北上市は、高機能3Dプリンターやスキャナーなどを市産業支援センター(同市相去町)に新たに導入し、4月から一般への供用を始めた。県内外の企業、個人を問わず利用でき、3次元デジタル技術を応用して、試作品製作や少量多品種の製品生産などに活用できる。
導入したのは立体を高速でデータ化できる3Dスキャナーのほか、得られたデータをもとに構造解析などができるシミュレーションツール、データを樹脂で立体に造形する3Dプリンターの3機種。新産業創出に向けた経済産業省の補助金約7100万円で導入し、運用に携わる人材育成を経て今年度から供用を始めた。市によると公的機関がこれらの先端機器と技術をセットで一般供用するのは、東北地方では初めてという。
製品の試作品をつくるには金型など試行錯誤に多額の経費や時間がかかるが、これらの機器を使えば短時間で経費も抑えられる。3Dスキャナーは形と色彩を同時にデータ化でき、プリンターはマイクロメートル単位の精度で造形するほか36万色の色彩の再現が可能で、フィギュアといった模型などの製品製造にも対応できる。
市は「試作品や製品製造だけでなく、建築や建設、デザイン、ファッション、文化財の保存復元など様々な分野に応用が可能」としており、自動車や電子関連など、地元中小企業の生産性向上などにも役立てたいとしている。
利用料は3Dスキャナーが1時間1180円、シミュレーションツールが同1970円。3Dプリンターは最初の1時間8840円でその後は1時間5900円。手のひらサイズで高さ2センチ程度のものなら約1時間で造形できるという。同センターでは有償で使い方などの技術指導も行う。
問い合わせはいわてデジタルエンジニア育成センター(0197・62・8080)へ。(溝口太郎)