昨年8月5日の阪神甲子園球場。第100回全国高校野球選手権記念大会の開会式であいさつしたのは、当時の皇太子徳仁親王、現在の天皇陛下だった。
「私の高校野球の最初の記憶は、第50回記念大会の決勝戦、大阪の興国高校と静岡商業高校の試合でした」。球場を埋めた約4万5千人の観客は、しばし聴き入った。
「1対0という白熱した投手戦をよく覚えています。それ以来、50年にわたり、高校野球を身近なものと感じて応援してきました」。静商はこの1968年夏の決勝で興国に敗れ、全国準優勝となっている。
退位した上皇ご夫妻も、静商の野球に関心を示したことがある。即位して初めて静岡県内を公務で訪問した94年、当時知事だった石川嘉延さん(78)が県内の近況を説明すると、美智子さまから「甲子園、静岡商業は最近どうですか」と質問があった。石川さんは「準優勝がそんなに印象に残っていたのかな」と振り返る。準優勝時の静商投手だった新浦寿夫さん(68)も、「身が引き締まる。どうしてそんなに関心があるんだろう」。
背景には、ご一家と野球を巡る経緯がある。
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