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水と空気からアンモニア 100年続く製法超えられるか

作者:佚名  来源:本站原创   更新:2019-5-16 12:36:15  点击:  切换到繁體中文

 

水と空気からアンモニアを効率よくつくる日本発の新技術が先月、英科学誌ネイチャーで発表された。アンモニアは化学肥料の原料であり、将来の燃料としても期待が高い。一方、約100年の歴史を持つ現在の製造法は、大量の二酸化炭素を排出するが大量生産に向く。新技術が抱える課題や超えるべき壁を探った。


世界初、窒素と水からアンモニア 東大の研究チーム


新技術を開発したのは、東京大学の西林仁昭教授率いるチーム。2017年に加わった博士課程の大学院生、芦田裕也さん(29)が中心となり、原料に化石燃料由来の水素を使わず、水と窒素からアンモニアを合成する方法に挑んだ。


自然環境の常温、常圧下では、ニトロゲナーゼ酵素が触媒となり、空気の約8割を占める窒素がアンモニアに変換されて土中に固定される現象が知られている。西林さんたちはこのメカニズムを人工的につくろうと長年挑戦してきた。


だが、窒素分子は窒素原子同士が三重結合で極めて強固に結びついている。水と窒素からアンモニアを合成するには、結合を切り離すことが必要だ。高温や高圧にせずに切り離す、新たな方法を見つけなければならなかった。


今回のブレークスルーは、芦田さんが中心となって見いだした有機合成の試薬として使われるヨウ化サマリウムを還元剤として使う手法だ。溶媒中のヨウ化サマリウムと、独自開発のモリブデン触媒、水、窒素ガスを一緒にしてかき混ぜれば、窒素原子が切り離され、アンモニアが効率よく生まれた。


西林さんらのチームと共同研究を続ける九州大の吉沢一成教授(計算化学)は還元剤と同様に、モリブデン触媒の役割も重視する。「この触媒の作用機構は分かっていないが、解明できれば、さらに高活性なアンモニア合成触媒を実現できるだろう。そうなれば工業化に近づくと思う」


ただ、サマリウムはレアアース(希土類)で、1キロあたり2千円程度とやや値が張るため、アンモニア合成で大量に必要になるとコストがかかる。また、反応後に生じるサマリウムの化合物を再利用するには大量の電力が必要だ。再生可能エネルギー由来の電力を用いるなどの対症療法的な解決策だけでなく、安価なサマリウムに替わる還元剤を見つけることも将来的には必要だ。


日本アンモニア協会の成田幸男さんは、この技術について「原料を輸送しなくてよいメリットを生かし、離島などのプラント向けに現地で少量のアンモニアを製造するのに向いているかもしれない」と語る。


100年前登場の生産方法、なお現役


アンモニアは世界で年約1億4千万トン(窒素換算)生産され、化学肥料や合成繊維などの原料として欠かせない。また燃料電池の燃料である水素は燃えやすいが、これを安全に運び、使う場所で取り出すことにも期待が集まる。


アンモニアは現在、ほとんどがハーバー・ボッシュ法(HB法)で作られている。約1世紀前に生まれた製法で「空気からパンを作る」と評されてきた。窒素と水素を、高温(400~650度)、高圧(200~400気圧)で酸化鉄触媒とともに反応させる。製造に大量のエネルギーが必要で水素を化石燃料から作る際に大量の温室効果ガス(二酸化炭素)を出すが「触媒は10年以上使える。アンモニアを安く大量に作り続けるには非常に優れた技術だ」と東京工業大の細野秀雄栄誉教授はいう。


低温、低圧の新技術、企業と連携も


西林さんらの新技術が実用化レベルに達したとしても普及するかはわからない。産業技術総合研究所の難波哲哉・上級主任研究員は新技術に期待を示しつつ、「長時間、連続運転が前提のHB法と同程度生産するには克服すべき課題は多いだろう」と指摘。日本肥料アンモニア協会の成田幸男さんは「原料の化石燃料を輸送しなくてよい利点を生かし、現地で少量のアンモニアを製造するのに向いているかもしれない」と語る。


ほかにも様々なアンモニア合成の研究が進む。


細野さんらはHB法より低温、低圧で効率良く合成できる技術の確立を目指す。260度、9気圧で、希少金属のルテニウムの微粒子を表面に付けた化合物で作った触媒を使う。同様にルテニウムを使った従来の触媒と比べると、合成速度は100倍という。


2年前、味の素(東京)などとベンチャー企業を設立。うま味調味料や医薬品のアミノ酸を発酵生産するときに副原料として大量のアンモニアを必要とするため、2年後にも同社の生産拠点の隣にアンモニア合成工場を作る予定だ。細野さんは「必要な分を必要な場所で作る技術は、人口増加が予想される地域での食料増産にも役立つのではないか」と語る。


他の研究グループは、数千ボルトの高電圧でプラズマ化した窒素ガスを水面に吹きかけて触媒なしにアンモニアを作ることに実験室レベルで成功した、と専門誌に報告している。(松尾一郎、杉本崇、勝田敏彦)



 

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