「ゲーム分野で最強の組み合わせが実現した」
大手証券アナリストは、ソニーと米マイクロソフト(MS)が17日発表した両社のゲーム事業の提携についてこう語る。17日の東京株式市場ではその動きが好感され、ソニー株が取引開始直後から上昇。一時、前日比10・9%高値となった。終値は前日比531円(9・89%)高い5900円で、2018年12月14日以来5カ月ぶりの高値となった。
ソニーは最大2千億円の自社株取得枠を設けることも16日に発表している。自社株買いで、株主への還元率が高まることも好感されたようだ。
MSはクラウドサービスを使ったゲームのネット配信に注力している。ネット空間のクラウドから必要に応じてデータを受信する(ストリーミング)方式をとるため、プレイステーション4(PS4)などのゲーム専用機がなくても、スマートフォンやタブレット端末で遊べる。
専用機を必要としないゲーム事業は、米グーグルも参入を発表しており、競争が激しい。ソニーはPS4などのゲーム専用機のほか、提供する様々なゲームコンテンツに強みをもつ。クラウドに強いMSと機器に強いソニーの連携で、高速移動通信方式「5G」の時代を見越したゲームのネット配信に取り組むとみられ、市場では期待が高まった。
17日の日経平均株価の終値は前日比187円11銭(0・89%)高い2万1250円09銭で、2営業日ぶりに上昇。米中貿易摩擦の懸念は残るものの、欧米やアジアの各株式市場が堅調に推移した流れを引き継いだ。ただ、野村証券の田之上章氏は「上げ相場にはなったが、米中摩擦への警戒感から、しばらくは積極的にリスクをとって買いに走る動きは出にくいだろう」と話す。(高橋克典)