丸紅の柿木真澄社長は朝日新聞のインタビューに応じ、地域密着型サービスを提供する「ユーティリティーサービス」の実験に取り組む考えを明らかにした。長野県伊那市を中心にスタートしており、電力供給から高齢者の見守り活動まで幅広く手がけたいという。
丸紅は2018年6月に「丸紅伊那みらいでんき」(伊那市)を設立し、今年4月には中部電力と伊那市から出資を受けることでも合意した。5月には丸紅子会社が水力発電で生み出した電力を市有施設に供給しはじめた。今後は地域の生活関連サービスにも力を入れていく方針だ。
柿木氏は「電気やガス、水、交通システム、お年寄りの見回りなど地域には色々なサービスがあるが、バラバラでは成り立たないものもある。『まとめて全体で事業として成り立てばいい』となれば、今までやれなかったサービスも提供できる」などと語った。単独では黒字化が難しい事業でも、他の事業の利益で補えるなら続けていく考えだ。
現地の人員も増やし、具体的なサービス内容を検討中。柿木氏は「そんなにもうかるシステムにはならないかもしれないが、SDGsのサステイナビリティー(持続可能性)を確保できるビジネスになっていくのではないか。成功したら、成功事例をひっさげていろんな街を回ることができると思う」とも語った。(末崎毅)