「秋の味覚」のサンマの水揚げが、早くも28日に始まった。昨年まで漁は夏に解禁されていたが、長引く不漁対策として水産庁が今年から通年操業を認めたためだ。ただ、いまの時期のサンマは小ぶりなものが多い。「初夏の味覚」として定着するかは不透明で、乱獲になる可能性もある。
北海道根室市の花咲港に28日、サンマの棒受け網漁の5隻が続々と入港し、早朝から水揚げが始まった。ロシア・カムチャツカ半島南の公海で今月中旬から操業していた船で、その後の競りでついた最高価格は1キロあたり1900円。全国で昨年のサンマについた平均価格約200円の10倍近い「ご祝儀値」だ。
水産庁は昨年まで、大型船(総トン数が10トン以上)でのサンマ漁を日本近海にやってくる8~12月に限っていた。遠くに行けない小型船に配慮するためだ。北海道では小型船は7月に漁を解禁する。それを今年から、日本の排他的経済水域(EEZ)の外の公海については、大型船が通年操業できるようにした。この日水揚げされたのは、規制緩和で実現した「初夏サンマ」の第1弾となる。
背景には、サンマの長期不漁がある。2009年まで10年間は、毎年20万~35万トンあった水揚げ量は、15年以降は激減し、17年には7・7万トンに落ち込んだ。温かい水を嫌うサンマが、海水温が上昇した日本近海に来なくなったことが原因とされる。取り逃がさないよう、早めに遠くに出て漁ができるようにした。
ただ、この日の漁獲量は期待はずれに終わった。5隻の水揚げ量は計8トン。1隻で1日に40トンほどとれるとの期待もあったが、根室市の第88盛勝丸の機関長は「大きなサンマの群れに出会えなかった」と肩を落とした。2日もかかる公海の漁場に行くには、燃料代だけで約400万円もかかる。「このままでは採算が成り立たず、やらない方がましかも」とこぼす。
■「まだ試行…