回転ずし大手のくら寿司が、定置網にかかった未成魚を自社で育てる取り組みを始めた。国内での漁獲量が減る中、水産資源を有効活用する狙いだ。業界では初めての取り組みという。
今月から徳島県阿南市でマダイの養殖を始めた。7月からはハマチも加える。300グラム以下の魚を、1年から1年半かけて1キロ以上にするという。商品化は2021年を予定している。
くら寿司は15年から、定置網漁でとった魚をすべて買い取る「一船買い」と呼ばれる契約を、一部の漁協などと結んでいる。定置網漁では、すしのネタに使えない未成魚も網にかかってしまい、これまではすり身にしてコロッケなどの具材にしていた。ある年にはハマチで10トン、マダイで1トンの未成魚をとったと見込まれるという。
国内の漁獲量は減少の一途をたどる。「水産白書」によると、漁業・養殖業の国内生産量は1984年の1282万トンをピークに下がり続け、17年には3分の1の431万トンだった。一方で、世界的には水産物の需要は増している。すしネタに使うような人気の魚は、価格が上昇傾向だ。
久宗裕行・常務取締役は「具体…