97羽の折り鶴が放射状につながったり、五重塔のように縦に5羽重なったり――。どちらも、1枚の和紙から折られた「連鶴」だ。その発祥とされ、三重県桑名市に伝わる「桑名の千羽鶴」の講座には、江戸から続く伝統文化に魅了された多くの人が今も集う。
「桑名の千羽鶴を広める会」が開く上級者向けの定期講座。受講生約15人が「設計図」とにらめっこしながら、作品作りに挑んでいた。「あー。鶴が上下逆さまになっちゃった」。おしゃべりも楽しみながらだが、手元を見る目はみな真剣だ。
桑名の千羽鶴は、紙に切り込みを入れ、角が数ミリだけつながった複数の正方形を折り合わせることで、連続した折り鶴ができあがる。紙がちぎれてしまわないよう、普通の折り紙よりも厚い和紙を使うため、折りづらい。それでも受講者の伊藤ゑみ子さん(67)は「形になるとうれしい」と笑顔で話す。以前たまたまお祭りでやっていた講習に飛び入りで参加し、折り鶴の魅力に引き込まれた。
一番大変なのは製図だ。大きな…