高齢者の「生活の場」である介護施設で、事故をどう防ぐのか。模索する施設の中には、「介護事故ゼロを目指すのをやめる」という逆転の発想で事故を減らしているところがあります。(中村靖三郎)
「個人に刑事罰、恐ろしい」介護事故で有罪、現場に波紋
東京都練馬区で特別養護老人ホームなどを運営する社会福祉法人「練馬区社会福祉事業団」は2006年度、事故に対する方針を大転換した。
従来の目標は「事故ゼロを目指せ」。とにかく事故を起こさぬよう、利用者には「立たないで下さい」「動かないで下さい」と頼んだ。「『事故を起こしちゃいけない』と職員はピリピリしていた」。同法人の河野敦子サービス向上担当課長は振り返る。
しかし、それでも転倒による骨折など事故は相次いだ。そこで、介護事故専門のコンサルタントの助言を得て、発想を切り替えた。「事故ゼロは目指さない」。
防ぐべき事故と何をしても防げ…