神戸市灘区の六甲高山植物園で8日、「野生ランの王者」とも呼ばれる希少種「アツモリソウ」2株が盗掘された跡が見つかった。同園が9日、取材に明らかにした。
同園によると、8日午後1時半ごろ、園内の屋外にある「樹林区」の通路脇に植えられていたアツモリソウ3株のうち2株が根ごとなくなっているのが見つかった。当時は営業時間中で、同日正午ごろにあったイベントの際には異常がなかったという。同園は兵庫県警灘署に被害届を出した。
同園スタッフの糟谷絹衣さんによると、希少種の盗掘被害は今年すでに3件目という。糟谷さんは「狙われるのは高価な希少種ばかり。転売目的だと思う」と話す。植えられていたのは観賞用の通路から数メートルで柵なども無かった。「来場者に近くで見てもらえるよう展示していたのが裏目に出た。大事に育てていたのに悔しく、悲しい」
環境省によると、アツモリソウは愛好家の間で人気が高く乱獲にさらされて絶滅寸前となり、「種の保存法」で特定国内希少野生動植物種に指定されている。(後藤遼太)