政府は、地球温暖化対策の国際ルール「パリ協定」に基づいて作った長期戦略を11日、閣議決定した。今後、国連に提出する。最終到達点として二酸化炭素の排出ゼロを実現する「脱炭素社会」を、今世紀後半のできるだけ早期に実現することを掲げた。
それに向けて、2050年までに二酸化炭素の排出量8割減を目指し、技術革新などに取り組む。再生可能エネルギーを利用して二酸化炭素を排出せずに水素を製造するコストを10分の1以下に削減、二酸化炭素の回収、貯留技術の開発などを進める。
再生可能エネルギーのうち水力は、既存ダムの発電設備を改修した大型水力発電の役割を重視した。
一方、二酸化炭素を多く排出する石炭火力発電については「非効率な石炭火力発電のフェードアウト等を進める」との記述にとどまった。原発は「事故リスクの抑制や、廃炉や放射性廃棄物の処理、処分などの問題への対処で、社会的信頼の回復が不可欠」と指摘したうえで、安全性、経済性、機動性に優れた原子炉を追求すると、推進する姿勢を示した。核融合の研究推進も盛り込んだ。(松尾一郎)