日本や欧州などで海の環境保全に取り組み、3月のエチオピアの飛行機事故の犠牲になった女性がいる。フランス出身のサラ・オーフレットさん(当時34)。遺志を継ごうと、誕生日の今月16日、ゆかりのある人たちが世界各地の海岸で清掃活動を展開する予定だ。
サラさんは英国の大学を卒業後、2007年に外国語指導助手(ALT)として徳島県立鳴門高校に赴任。同県鳴門市内の田尻浜に漂着するごみに心を痛め、一人で海岸の清掃を始めた。10年ごろからは、同校の生徒や同僚らにも呼びかけ、地域住民や県内のALT仲間ら100人以上が集まったこともある。当時相談を受けた同校教諭の島田良子さん(58)は「とにかく、人が好きで何事にも一生懸命な人。『誰かのために何かしたい』『もっと世界のことを知りたい』という思いは生徒たちにも伝わった」。
その後は英国やノルウェー、アルゼンチンの企業や団体で、北極や南極の環境保全の視点を取り入れた観光ツアーなどに携わり、来日した際には、田尻浜にも訪れ、知人らと清掃活動をしたという。
マイクロプラスチックによる海洋汚染に危機感を持ったサラさんは今年3月、ケニア・ナイロビでの国連環境総会で北極圏の環境保全について発表する予定だった。しかし、現地に向かうためにエチオピアから乗った旅客機が墜落。帰らぬ人となった。
豪州に住む遺族が「Clean up For Sarah」と題して、サラさんの誕生日の海岸清掃を呼びかけると、草の根的に広がった。鳴門の関係者がフェイスブックページ(
https://www.facebook.com/events/265991317494481/
)に開催予定地を示した世界地図のURLを掲載すると、これまでに日本や欧州、米国、北米、中南米など50カ所以上での開催予定が書き込まれた。
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田尻浜でも、サラさんと交流のあった人たちが清掃活動を企画している。16日午前8時半から約2時間海岸を清掃した後、交流会を開くという。鳴門市の大津みさ子さん(57)は「サラさんの誕生日が、世界中でマイクロプラスチックの問題に取り組むきっかけの日になれば」と話す。
参加申し込みをメールで受け付けている。氏名、人数、電話番号を記し、事務局(narutocleanup4sarah@gmail.com)へ。(福家司)