「アンネの日記」で知られるアンネ・フランク(1929~45)の90回目の誕生日を記念する催しが12日、ドイツ各地で開かれた。誕生日前には「日記」の新刊も出版された。第2次大戦中のホロコースト(ユダヤ人大虐殺)を語り継ぐとともに、ユダヤ人に限らず様々な差別が今も社会にはびこっていないか、改めて問いかけている。
ホロコーストの時代、インスタあれば…等身大の姿を再現
欧州で差別、日本にはじかれ…「排外右派」日系人の原点
主催するアンネ・フランク・センター(ベルリン)によると、催しにはドイツ各地の約250の学校、約4万人の生徒が参加した。資料を読んだり議論したりして、ナチス・ドイツによる600万人以上のユダヤ人が犠牲になったとされる虐殺の歴史を学び直した。
「アンネ・フランクの日」と名付けて2017年から各地の学校で催しを開いており、参加する学校は年々、増えているという。
独西部ギュータースローの学校では、アンネと親交があった米国在住のピーター・コーンスタムさん(82)が日本の高校に当たる約100人の生徒たちに語りかけた。
「歴史を忘れてはいけない。無関心ではいけない。そして差別と戦おう。いつかアンネが望んだ世界になると信じている」
アンネ一家と同様、迫害を避けてドイツからオランダに一家で逃れ、近所で親しくなった。アンネがよく遊びに来ては、子守役になってくれたという。
ナチスが1940年にオランダを占領した後、アンネ一家は隠れ家での生活を選んだが、コーンスタムさん一家はさらに欧州各地を転々とし、最終的に南米アルゼンチンで生き延びた。「お金も着る物もなく歩いた。忘れられない、つらい旅だった」。
生徒の一人エリーザ・ファイゼ…