補聴器が、機能面でもデザイン面でも進化しています。一方で、使い勝手が悪いものという誤解も根強く、欧米に比べて普及していない現状もあります。
耳の困難とともに生きる 治らなくても対処するには
「補聴器のおかげで、諦めていたことができるようになった。今年はユーミンのコンサートを楽しみました」。愛知県西尾市の医療法人理事、藤田正之さん(56)は声を弾ませた。
補聴器を使い始めたのは10年ほど前。会議で話が聞きづらくなり、家族からも「呼びかけても反応がない」と言われた。耳鼻咽喉(いんこう)科を受診し、補聴器をつけたが、マイクが近づいた時のような「ピー」というハウリング音に悩まされた。食堂で食器がぶつかる音や、会議で紙をめくる音が聞こえ過ぎるのも困った。
「当時は、適切な調整や『慣れ』も必要だということを知らなかった」。その後、使い方を学び、製品の情報を集めて数種類を使用。10年間で進化を実感してきた。
日本補聴器工業会によると、かつては雑音も含めあらゆる音が大きく聞こえてしまい、「かえって聞きづらい」というイメージがあった。
しかし、1990年代にデジタ…