望まない妊娠を避けるためにのむ緊急避妊薬が、スマートフォンなどによるオンライン診療で処方を受けられるようになる。だが、ルールを決める厚生労働省の検討会では、推進派と慎重派で意見が割れ、さまざまな条件が付いた。多くの国では医師の診察なしに薬局で買えるのになぜなのか。
「女性にとって産婦人科の受診はハードルが高い。女性を守る視点を持ってほしい」。検討会で山口育子さんが訴えた。認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOMLの理事長で、患者が自立的に医療に参加できるよう電話相談などに取り組む。委員12人のうち唯一の女性だった。
緊急避妊薬は、望まない妊娠を防ぐ最後の手段だ。性交から72時間以内にのむ必要があり、入手するには医師の処方箋(せん)が要る。近くに医療機関がなかったり、受診をためらったりすれば、薬は手に入らない。本物かわからない薬をインターネットで買う人もいる。
山口さんが特に気にかけたのが、交際していても合意がない「デートレイプ」や性犯罪で被害に遭った女性だ。山口さん自身、小学生の時に性的被害を受けた経験を持つ。医療機関に行き、医師に対面で性被害の説明をすることは心理的な負担が大きいという。
だが、検討会では医療者を中心に慎重派が大勢を占めた。
「これだけ若い女性が性に関し…