参院選の争点の一つとなりそうな老後の問題。高齢者たちはどんな思いを抱いているのだろうか。
記者は福岡市の西鉄福岡(天神)駅近くの「年金バーさかえ」を訪ねた。年金受給者らで夜ごとにぎわうと評判の店。国会議員の年金未納問題が相次いで発覚した2004年に「スナックさかえ」から名前を変えたという。
「あれから15年になりますが、今また年金の問題で政治が揺れている。私たちの子どもや孫の世代は安心して老後が過ごせるのでしょうか」とママの光武(みつたけ)栄子さん(78)は話す。
長崎県佐世保市でホテルを経営していた。だがオイルショックや造船不況などの影響で経営難に。地元業者に引き取ってもらい、家族とともに40年ほど前に福岡に引っ越し、やがてスナックを始めたという。
午後6時開店。ほどなく「これ食べて」とカマスの塩焼きを手にした60代の男性客が入ってきた。初対面の酒場でヤボとは思いつつ、老後の年金問題について聞くと、「国は100年安心、って言うけど、ほんとかな……」。言葉少なに首をひねった。
年金の支給日には行列ができる…