日本の海上保安庁と海上自衛隊が26日、初めてとなる南シナ海での共同訓練を実施した。領海警備にたずさわる海保が、海外で海自と訓練するのは異例。事実上の空母化が予定される護衛艦「いずも」も参加しており、南シナ海で独自の管轄権を主張して軍事拠点化を進める中国を牽制(けんせい)することになりそうだ。
26日昼、ブルネイ沖の南シナ海。「海上保安庁との共同訓練開始」。いずもの艦内にスピーカーから号令が流れ、全長248メートルの甲板から艦載ヘリコプターが飛び立った。数キロ離れた海保の巡視船「つがる」に着船し、乗員同士が直接コミュニケーションを取り、通信の確認も行った。
いずもは4月末から、南シナ海やインド洋方面での長期訓練に出ている。つがるは6月中旬から、南シナ海の海賊対策や、東南アジア諸国の海上保安機関との訓練や研修をする目的で派遣され、ブルネイに向かっていた。
海保と海自の海外での共同訓練は少なくともここ5年間は実施されていなかったが、近年、双方が情報共有して互いの任務にあたる場面は確実に増えている。海保は、尖閣諸島周辺で日常的に接続水域や領海に入る中国海警局の公船と対峙(たいじ)。中国公船の背後には軍艦の存在が指摘されており、「海保と海自が相当レベルで共働しないと回らないのが実情」(政府関係者)だ。
中国側では昨年7月、組織改編…