安倍晋三首相は26日、通常国会の閉会にあたり、首相官邸で記者会見した。金融庁の審議会報告書で、老後の生活費が2千万円不足するとされた問題で、国民の年金への関心が高まる中、「負担を増やすことなく、給付だけを増やすことなどできない。年金を増やす打ち出の小づちは存在しない」と述べ、現行の年金制度を維持する考えを示した。
首相激怒「金融庁は大バカ者」 官邸主導、異例の火消し
首相は、年金は「老後の生活の柱」としたうえで、現役世代の減少や平均余命の延びに応じて年金水準を自動的に引き下げる「マクロ経済スライド」は、年金の維持に必要な仕組みと強調した。雇用の確保や賃上げで年金給付額を増やせるとし、「年金を充実する唯一の道は、年金の原資を確かなものとすること。すなわち、経済を強くすることだ」と訴えた。
12年前の参院選の大敗にも自ら言及。それが民主党への政権交代につながったと振り返り、「悔やんでも悔やみきれない。あの混迷の政治には二度と逆戻りをさせてはならない」と述べた。