高松市の男性職員が昨年、児童扶養手当の受給資格を確認するため、夜間に母子が暮らす部屋に1人で入り、タンスの中を個人のスマートフォンで撮影するなどしていたことがわかった。2日の市議会で、市議が「行き過ぎた調査だ」と主張したが、市側は「適正だった」と答えた。
岡田まなみ市議(共産党市議団)が一般質問で明らかにした。市によると、こども家庭課の職員が昨年8月の午後7時ごろ、児童扶養手当を受給する母子宅を訪問。同居の男性がいれば手当を受給できないため、確認で部屋に入った。
職員は洗濯物や寝室などを調査。同9月も午後8時ごろに来て、トイレや浴室を確認し、タンスの中の衣類をスマートフォンで撮った。岡田氏によると、母親は「調査を断れば手当が止まる可能性がある」と職員に言われ、室内に入れた。その後、調査が原因でうつ病と診断されたという。
岡田氏は質問で、「男性1人が夜、女性宅に不利益をほのめかして入室するのは行き過ぎた調査だ」と指摘。だが、大西秀人市長は「受給者が在宅の時間帯に調査をするので、夕方以降になることもある。調査員の男女の別は関係ない」とし、「国の事務処理マニュアルに従い、適正な調査だった」と答弁した。
ただ、夜に男性職員1人で訪れたことについて、同課の担当者は取材に対し、「今後は、できる限り複数の職員で調査することを検討したい」と話した。(石川友恵)