各地の刑務所で作られている伝統工芸品が根強い人気だ。高品質・低価格を売りに、ネット通販の普及で購入しやすくなった。伝統工芸の担い手が減る中、技術の継承や受刑者の更生にも一役買っている。ただ、出所後の仕事には必ずしもつながっていない。(森下裕介)
高松刑務所(高松市)の作業場で、頭を刈り込んだ受刑者が丸い盆に向かっていた。彫刻刀が木を削る乾いた音が響く。
江戸期から香川に根付く讃岐漆芸。技法の一つ「蒟醬(きんま)」は、削った漆の表面に色をつけた別の漆を塗って模様にする。職人だと数十万円する作品が、所内で販売する矯正展やネット通販で3万円ほど。刑務所の担当者は「遜色ない品を作っている」と胸を張る。
蒟醬をこなす男性受刑者(43…