苔(こけ)や青紅葉の美しさを京都に見に行く商品の売り出しに、旅行各社が力を入れている。京都観光は桜や紅葉の季節である春と秋が定番だが、最近は訪日外国人の急増で混雑が激しい。緑の美しさを観賞しつつ、ゆったりと観光できる利点をアピールする。
苔の庭園で知られる京都市左京区の圓光寺(えんこうじ)。6月末の日曜日の早朝、約35人の観光客が、靴下を脱いで庭の中に入り、歓声を上げていた。裸足で苔の感触を味わいながら、ほうきで庭掃除を体験するツアーだ。
毎年、京都を訪れているという東京都の広田良子さん(59)は、嵐山や銀閣寺といった観光名所の混雑が激しくなったことで、ここ数年はこうした「穴場巡り」に凝っている。「ゆったりとした環境で緑を楽しめるのが魅力ですね」と話す。
このツアーは、JR東海が苔を前面に打ち出した旅行として、今年初めて企画した。ホテルをチェックアウトする前の短時間の旅行という位置づけで、往復の交通費がついて税込み4800円。苔のオブジェづくりや座禅などの「体験」を押し出す。京都好きの東京、名古屋方面のリピーター客を取り込む狙いだ。JR東海の旅行担当者は「京都の春と秋は混雑が激しい時間帯もある。穴場の観光名所に誘導していきたい」と話す。
京都市観光協会によると、20…