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イランの核合意破り、狙いは? 欧州へ「八つ当たり」か

イラン政府が2回目の「核合意破り」に踏み切った。ウランの濃縮度について、2015年に米欧などと結んだ核合意の3・67%を超えると発表、米国などの反発は必至だ。この状況をどう見るべきか、国連でイラン制裁の専門家パネルの委員を務めた経験もある、北海道大の鈴木一人教授(国際政治経済学)に聞いた。


世界一頻繁な査察


Q 今回のイランの発表をどう見るか。


A 発表をしたこと自体が重要だ。アラグチ外務次官らがわざわざ出てきて宣言した。本当に核兵器をつくりたいのであれば、こそこそとやるだろう。実際、かつてイランは秘密裏に核開発をしていた。今回の措置は、明らかな政治的メッセージだ。


北朝鮮にしても、最初に国際原子力機関(IAEA)を追い出した。イランにはIAEAが常駐し、24時間体制でカメラが監視する。なので、イランの宣言通り、低濃縮ウランの貯蔵量が核合意で定めた上限を超えたときも、IAEAはすぐに確認できた。イランはいま、世界で最も頻繁に査察を受けている国だ。


イランは本当に核兵器を作る気はさらさらない。でも、それをあいまいにしている。核合意を文言通りは守らず、含みを持たせている。


爆発装置でさらに数年


Q 今回、ウランの濃縮度を何パーセントまで上げるかは公表しなかった。


A 事前に上限は5%にするという情報が報道機関に対してリークされている。典型的なイランの交渉パターンで、実際に5%は超えないだろう。


核合意は、イランが原子爆弾を一つつくるのに必要な量の、濃縮度90%のウランを準備するまでに最低1年かかるよう、核関連の施設などに制限をかけた。従来のウラン濃縮度は上限が3・67%だったが、これが5%に上がっても、その期間はほとんど変わらない。


たとえば、ビー玉100個入り…


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