音楽教室での講師や生徒の演奏に、著作権法が定める「演奏権」は及ぶのか――。日本音楽著作権協会(JASRAC)とヤマハなどの音楽教室などが争っている訴訟で9日、証人尋問がある。両者の主張は真っ向から対立している。三つの争点について解説する。
JASRAC、音楽教室に「潜入」2年 主婦を名乗り
著作権法22条は、楽曲を「公衆に直接聞かせることを目的として演奏する権利」を作曲家・作詞家ら著作者が専有すると定める。この権利が「演奏権」だ。
典型的なケースが、音楽のコンサートだ。著作権が消滅した古典の曲以外は、歌手が歌ったり楽団が演奏したりする曲の演奏権料をJASRACなどを通じて、作曲家らに払う義務がコンサートの事業者にはある。
JASRACは2017年2月、この演奏権を根拠にして、音楽教室から著作権料を徴収する方針を発表した。教室側は「教室での演奏は、コンサートと大きく異なる。楽器の指導・練習のための演奏であり、演奏権は及ばない」と主張。「JASRACに著作権を請求する権利がないことの確認」を求めて東京地裁に提訴した。
教室で演奏、「鑑賞目的」か
争点は主に3点だ。①楽曲を利用している主体は誰か②教室の生徒は「公衆」といえるのか③教室での演奏は生徒に楽曲を聞かせることが目的といえるのか――。
まず①について、JASRAC…