駅ホームで倒れた人を自動体外式除細動器(AED)を使って心肺蘇生し救命したとして、埼玉県越谷市消防本部が、春日部市の戸田成美さん(23)に感謝状を贈った。戸田さんは救命活動後に立ち去ったが、越谷市が公式ツイッターで「感謝の気持ちを伝えたい」とつぶやいたのがきっかけで、贈呈式が実現した。
戸田さんは埼玉医大総合医療センター(川越市)の臨床検査技師。出勤途中の5月9日午前6時半ごろ、JR南越谷駅(越谷市南越谷1丁目)の上り線ホームで、市内の男性(68)が倒れているのに周囲の声で気付いた。
「大丈夫ですか」と声をかけたが反応はなく、胸を圧迫して心肺蘇生を開始。付近の人に救急隊の出動要請を頼んだ。AEDを持ってくるように依頼し、居合わせたもう一人の女性とAEDを使って心肺蘇生をした。その後、到着した救急隊員に引き継ぎ、立ち去った。
的確な応急手当てにより、男性は救急車内で意識が回復。救急隊員に感謝の意を伝えたが、隊員は「自分たちは何もしていない。したのはホームにいた女性たち」と応じたという。
越谷市は翌日、公式ツイッターで、こう呼びかけた。
「心臓マッサージをしてくださった方、感謝の気持ちをお伝えしたく、さがしています」
戸田さんは、数日後にツイッターを見た母親から「これ、あなたでは」と伝えられ、市に連絡。1日の贈呈式につながった。
この4月から臨床検査技師になった戸田さん。AEDの講習を受けたことはあったが、実際に使ったのは初めてだったという。「誰かがやらないといけないと思って自然に動きました。助かってよかったです」
消防本部は、もう1人の女性もさがしている。(春山陽一)