JR久大線など大分県内の鉄路に9日、蒸気機関車(SL)がおよそ半世紀ぶりに復活した。沿線は詰めかけた見物客や写真愛好家らでにぎわった。久大線はSLの運用を止める「無煙化」が1970年に終了。SLが釜に火を入れ煙を吐いて走るのは72年以来という。
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SLは「湯けむり号」。大分県内でのSL定期運行をめざす「大分にSLを走らせる会」が、JR九州の「SL人吉」をリースした。客車は3両で、水分峠など勾配がきつい場所があるため、最後尾に後押し役のディーゼル車を付けた。
この日はツアーやクラウドファンディングで予約した約100人の乗客を乗せ、日田駅(日田市)を午前9時20分に出発。大分駅から日豊線を経て別府駅(別府市)まで走った。途中の豊後森駅(玖珠町)では、かつてSL運行の拠点だった旧豊後森機関庫をガイドが案内。由布院駅(由布市)では45分停車し、乗客らは近隣の散策なども楽しんだ。
大分―別府間では別府湾を望む国道10号と並走。観光名所の高崎山や水族館「うみたまご」などを横目にラストスパートした。
会では将来的には自前のSLを買い、JRに委託する形で日豊線や豊肥線などでも定期運行したい考え。今回の走行で県内外の機運が高まることを期待している。(寿柳聡)