茶色い液体の入ったペットボトルがずらりと並ぶ自動販売機が、宮城県内でじわりと勢力を拡大している。麦茶のようなこのボトル、よく見るとトビウオの煮干しが浮かんでいる。料理に使う「だししょうゆ」だ。その名は「だし道楽」。自宅で本格的な味わいの和食を手軽に作れるのが売りだという。
自販機は6月下旬に仙台市内に10台、名取市に1台新設され、県内では計14台になった。製造元の「二反田醬油(しょうゆ)」(広島県江田島市)によると、もともと経営するうどん屋の店内で持ち帰り用に売っていたが、「営業時間外でも買いたい」という客の声を受け、2007年に自販機での販売を始めた。
全国では70台以上あり、東北では宮城のみに設置している。仙台市の自販機運営会社「サン・ベンディング東北」が目をつけて増やしたのだという。
あっさりとした甘みが特徴で、トビウオとかつお節の2種類がある。1本700円と麦茶よりかなり高めだが、夏場は冷ややっこやそうめんのつゆにぴったりだ。
仙台市青葉区の駐車場では、多賀城市の男性(70)が自販機とにらめっこ。「のどが渇いたので自販機でお茶を買おうと思ったら、全部だしじゃないか」と笑った。(大宮慎次朗)