米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が、米フェイスブック(FB)が計画する暗号資産(仮想通貨)リブラについて強い警戒感を示した。
パウエル氏は10日、米下院での証言でリブラについて「プライバシーやマネーロンダリング、消費者保護、金融制度の安定性などの点で多くの重大な懸念がある」と述べた
パウエル氏は、FBがリブラの計画を発表した6月の数カ月前に、FRBとの間で協議したと説明。すでにFRB内にはリブラの課題について検討する専門部署を設けており、「世界中の政府や中央銀行とも連携して課題を調べる」という。
FBが「ブロックチェーン」の技術を用いてつくる巨大な「通貨圏」と、既存の国家や中央銀行をベースとした金融秩序とがどう折り合うのかは、まだ見極めにくい段階だ。パウエル氏は「(リブラの)懸念に取り組むにあたっては辛抱強く慎重な姿勢が求められるべきで、実現に向けて全力疾走するようなことはすべきではない」と警告した。(ワシントン=青山直篤)