中国のIT企業「字節跳動」(バイトダンス)の運営する人気動画投稿アプリTikTok(ティックトック)が米国事業で不公正な待遇を受けていることが幅広く注目されている。TikTokの米国事業を禁止する行政命令を出すとの脅しから、米国企業への売却の強制まで、米政府の一連の言動に専門家やネットユーザーの間で批判の声が広がっている。新華社が伝えた。
米誌WIREDのスタッフライターであるLouise Matsakis氏は、米政府がTikTokを禁止しようとするのは 「災難」であり、「自国企業にのみ発展と強大化を認める」という「極めて不公平」なやり方はグローバルな自由市場を損なうと指摘した。
イェール・ロー・スクールのシニア・フェローは「TikTok事件は『危険な前例』を作った。これは米国が『技術ナショナリズムの道』を歩んでいることを意味している」と指摘。「中国に限らず、米国に敵対国と見なされたどの国の企業も、米国の国家安全保障に不利との理由で禁止されかねない」と述べた。
スタンフォード大学のMark Lemley教授は、TikTokが米国の国家安全保障にとって脅威であることを証明する「真の証拠」はなく、事件の根本的原因は中国のどのテクノロジー企業も敵視する米政府の姿勢にあると指摘した。
米政治誌『ワシントン・マンスリー』のライターであるデビッド・アトキンス氏は、米財務省にTikTok買収から利益を得させようとするトランプ政権の手法を批判し、SNSへの投稿で、TikTokを禁止すると脅すことで米国企業による買収へと追い込むのは「権力の乱用」だとした。
米司法省反トラスト局で首席法律顧問を務めたGene Kimmelman氏も米政府の措置は理解できないとして、独占禁止法に根拠のない「尋常でない、正常でない」要求だと述べた。
TikTok禁止という米政府の方針を拒絶する動きが人気投稿者の間でも広がっている。フォロワー数が合計5400万人に達する9人の投稿者は8月2日にトランプ米大統領にあてた公開書簡で、TikTokはフェイスブックやインスタグラムといったSNSでは不可能だったインタラクションを実現したと指摘。インターネットで成長した世代である彼らのインターネットに対する期待は2つのプラットフォームしかないことではないとして、この機会を利用して公平な競争の行われるネット環境を創造すればいいではないかと訴えた。(編集NA)
「人民網日本語版」2020年8月5日