日本の読売新聞が、変異した新型コロナウイルスが6月以降日本で広がっていると報じた件について、日本国立感染症研究所の専門家は9日、「この報道は誤報だ。実際に日本で現在流行しているタイプは少量の塩基変異が生じたに過ぎない」と述べた。環球時報が伝えた。
8日付の読売新聞は、日本国立感染症研究所による最新の研究内容を掲載した。それによると3月から日本での感染拡大は、主に欧州系統の遺伝子配列を持つウイルスによるものだったが、5月下旬にいったん収束した。6月以降、日本で広がっている新型コロナウイルスは変異した、新たなタイプの遺伝子配列を持つものだ。現在、日本国内で急増している陽性患者の多くが、この変異後の新型コロナウイルスの感染者だという。
これについて、日本国立感染症研究所病原体ゲノム解析研究センター長の黒田誠氏は「日本国内で現在流行しているタイプは欧州の遺伝子配列を持つ新型コロナウイルスを基礎としており、6の塩基変異が発生した。この少量の塩基変異が発生したタイプは、6月下旬より東京から日本全国に広がり始めた可能性がある」と述べた。
報告書によると、同研究の時間は7月16日まで。研究者は日本国内の3600人以上の新型コロナウイルス感染者及び航空便により入国した67人の感染者のウイルスの遺伝子配列を分析した。また世界各地の研究者が発表した、世界の約4万6000人の感染者のウイルスの遺伝子配列と比較対照した。
研究によると、2019年末から今年7月にかけて、世界の新型コロナウイルスの遺伝子には平均で約15の塩基変異が発生した。
日本で新たに現れた変異ウイルスは、開発中の新型コロナウイルスワクチンに影響を及ぼすだろうか。
ワクチン専門家の陶黎納氏は取材に対し「現在開発中の新型コロナワクチンはいずれも、昨年12月から今年1月に分離されたウイルス株に基づくものだ。現在のタイプにはすでに一定の変異が生じているが、ワクチンの調整が必要かについてはまだ観察が必要だ。カギとなるのは、ウイルスの変異が生じるポイントはワクチンが利くキーポイントであるかどうかで、現時点ではちょうどその部分で生じたという証拠はない。第1世代の新型コロナワクチンが登場すれば、ワクチン全体の開発が80%成功したと言える。ウイルスに変異が生じても、新たなウイルス株をワクチン内に入れることで、理論的には子宮頸がんワクチンやインフルエンザワクチンのように多価ワクチンにできる」と述べた。
別の医療専門家は9日、取材に対し「RNAポリメラーゼは忠実度が低いため、RNAウイルス(コロナウイルスとインフルエンザウイルスはいずれもRNAウイルス)に変異が生じやすいのは予想通りだ。一般的には過度に懸念する必要はない。ウイルスの圧倒的多数の変異が、その免疫原性や抗原性の変化を伴わず、ワクチンの有効性に影響を及ぼさないためだ。そのため一般的にはウイルス変異について予防策を講じる必要がない」と話した。
武漢大学医学部ウイルス研究所の楊占秋教授は「新型コロナの変異を過度に恐れる必要はないが、これまで強調してきたように正常な防護を維持すればよい。すなわち公共の場に行く時にはマスクを着用し、こまめに手洗いをし、自己防護措置を講じるということだ」と述べた。(編集YF)
「人民網日本語版」2020年8月10日