習近平国家主席は20日夜、テレビ会議形式で開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席し、重要談話を発表した。重要談話で「中国は『環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)』への参加を前向きに検討する」と表明したことが、特に注目された。「参加を前向きに検討する」との短い言葉には、相当の重みがある。習主席が国際的な場でCPTPPに対して、これほど明確な発言をしたのは初めてだ。新華網が伝えた。
CPTPPは2018年12月30日に正式に発効した。日本、カナダ、オーストラリア、チリ、ニュージーランド、シンガポール、ブルネイ、マレーシア、ベトナム、メキシコ、ペルーの11か国が参加し、総人口は4億9800万人で、締約国のGDPの総和は世界経済全体の13%を占める。協定に基づき、締約国は工業製品や農産物の関税を撤廃または引き下げ、貿易と投資の面で円滑化措置を講じる。また、携帯電話の国際ローミング費の引き下げ、クロスボーダー・データ交換の制限撤廃、オンライン詐欺行為を制限する法令の共同制定なども行う。
中国はかねてより貿易と投資の自由化及び円滑化の断固たる支持者であり、アジア太平洋地域の協力と経済統合の重要な参加国でもある。習主席が今回CPTPPへの「参加の前向きな検討」を表明したことで、多国間主義を断固として守り、開放型世界経済を構築するという中国側の一貫した立場がはっきりと示された。
■CPTPPへの参加が中国にとっての意義とは?
中国を含む15か国が15日、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定に正式締結したことで、世界最大の自由貿易圏が誕生を告げた。RCEPはASEAN10か国と中国、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドを含み、総人口は22億7000万人、GDPは26兆ドル(1ドルは約103.7円)、輸出総額は5兆2000億ドルに達し、いずれも世界全体の約30%を占める。CPTPPはRCEPと参加国がある程度重なり合うことに難なく気づく。RCEP締結後、世界第2の経済大国である中国がCPTPPに参加するか否かが、世界的に大いに注目されている。今や中国の国家元首も参加に前向きな姿勢を表明した。これは間違いなくCPTPPの発展にとって重大な良いニュースであり、将来への期待が一層高まる。
より低い関税、より自由な貿易が、全ての自由貿易協定に共通の特徴だ。RCEPへの締結により、中国が他の国・地域と締結した自由貿易協定の数は19となった。CPTPPへの「参加の前向きな検討」が、中国の輸出市場の拡大に寄与し、対外貿易・投資の布陣をさらに優れたものにすることは難なく予測される。
また、CPTPPへの参加には比較的高い制度的敷居があるため、中国は交渉参加過程において自国のより深いレベルの制度的開放を推し進め、「第14次五カ年計画に関する提議」における『グローバルな高水準の自由貿易圏ネットワークの構築』という目標へ向けてさらに一歩進むことにもなるだろう。
国際通貨基金(IMF)は今年、世界経済は4.4%縮小すると見るが、中国は世界の主要エコノミーの中で唯一プラス成長を実現する見通しだ。中国がCPTPPに参加した場合、自国の経済・貿易の発展に新たな道を切り開くだけでなく、アジア太平洋自由貿易圏の早期完成、世界経済の回復推進にとっても力強い原動力となることが予想される。(編集NA)
「人民網日本語版」2020年11月23日