不要なリフォーム工事で高額な代金を支払わされたとして、札幌市豊平区の男性(80)がリフォーム業者に計約690万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が17日、札幌地裁であった。橋本修裁判官は「判断能力が減退した男性に必要のない工事をさせたのは不法行為にあたる」として、業者に603万円の支払いを命じた。
この業者は、住宅増改築や床下換気扇の販売などを主な事業とする「ワールド」(本社・小樽市)。工事時は「北海道下水保安協会」との社名で、その後現社名に変更している。
訴えなどによると、同社は04年7月、「灯油がタンクから漏れ、処理のために調湿剤が必要」「工事をしないと家屋全体がだめになる」などと持ちかけ、床下への調湿剤の散布など2回にわたる工事を契約し、施工した。工事費として計約490万円の支払いを受けた。
男性側は「男性は当時認知症状態だった。業者側は正常な判断能力に欠けると知りつつ高額で不要な工事をした」と主張。業者側は「男性に説明し納得づくで契約を結んだ」と反論していた。
男性側代理人によると、この男性と妻は03年7月~04年8月、被告ら6業者に各種リフォーム工事を持ちかけられ、約1160万円を支払った。うち4業者とは連絡が取れないという。
【遠藤拓】