第55回全日本大学野球選手権は8日、神宮球場で2回戦4試合を行った。昨年の覇者・青学大、法大、創価大のシード校が順当に準々決勝に進み、名城大も初の8強入り。
青学大は延長十二回、主将・円谷(4年・横浜)の左中間適時二塁打で福岡大に1-0でサヨナラ勝ち。同選手権での連勝を17に伸ばした。名城大は、2本塁打など毎回安打で福井工大を4-1で退けた。創価大は四回の集中打で逆転し、阪南大を8-3で破った。法大は一回に大沢(3年・作新学院)の3点本塁打などで試合の主導権を握り、関東学院大を7-3で降した。
○…打たれてもひょうひょうと投げる青学大の主戦・高市の顔が、何度となく引きつって見えた。
制球を意識するあまり、腕の振りが鈍かった。感覚を取り戻そうと、味方の攻撃中もキャッチボールを続けた。「適度に疲れると、体のバランスが良くなってくる」と高市。十一回はわずか9球で3者連続見逃し三振に。十二回2死一、三塁のピンチをしのいだ直後、主将・円谷の一打で試合が決まった。
リーグ戦では5度の完投勝利を含む6勝。この日も174球を投げ抜いたが、4月4日のリーグ開幕戦以来の2けた安打を許した。「きょうの出来は30点」。エースは苦笑いしたが、最後は「次も投げます」と頼もしい言葉で締めくくった。
○…4度目の出場で前日に初勝利を挙げた名城大が、勢いに乗って初の8強入り。一回に3番・木全(2年・愛知啓成)の2ランで先制、六回には上村(4年・春日丘)の左越えソロで突き放した。先発・山内(3年・杜若)も109球で完投。投打がかみ合った試合運びに大坪監督も「最高の流れ」と満足げだった。準々決勝の相手は優勝候補筆頭の青学大。直前に延長戦で苦しんでいる姿を見た大坪監督からは、「胸を借りるつもりでやるが、何とかいけるんじゃないかな」と強気な発言も飛び出した。
○…昨年の最高殊勲選手の右腕・高市から11安打し、青学大を追いつめた福岡大。十二回に2死一、三塁と勝ち越し機を迎えたが、あと1本が出なかった。2回戦突破を目標に掲げていた樋口監督は「勝ち試合だった。チャンスの時に、低めのボールを打たされた」と悔やんだ。ただ、優勝候補を相手に互角の戦いを展開し、「この大会で負けのないチームにここまで戦えて、粘りが出てきた」と手応えをつかんだようだった。
毎日新聞 2006年6月8日 21時32分