○ロッテ8ー7ヤクルト●
ロッテが交流戦首位の座を奪還。五回に青野の適時二塁打と里崎の左越え満塁本塁打で逆転し、七回にはベニーが左越え8号ソロ。ヤクルトの反撃を継投で辛くもかわした。ヤクルトは八回に満塁から敵失で1点差まで迫ったが、そこまで。
▽ロッテ・バレンタイン監督 雨の中でのタフなゲームだったが、選手はチャンピオンチームらしく戦ってくれた。
▽ヤクルト・古田監督 点を取られ過ぎ。(交流戦優勝決定を逃したが?)1日ごとに状況が変わるからね。1試合ずつ勝っていくだけ。
▽ロッテ・里崎 交流戦云々より3連敗は嫌だった。もし日本シリーズにヤクルトが出てきたら、分が悪いままになってしまう。
◇里崎、雨を味方につけた一発
雨がすべてのカギを握っていた。
五回のロッテの攻撃に入る時、神宮球場に試合前から降り続く雨は、その勢いを増していた。青野の適時二塁打で2点差に迫り、さらに2四球などで2死満塁としたころには、スコアボードはかすみ、選手の帽子のひさしから水滴がポタポタと落ちるほどだった。
打席に向かう里崎の脳裏に、嫌な記憶がよみがえった。やはり雨中戦となった5月24日の阪神戦の五回、2死満塁の場面で三振。そのままコールド負けしたのだ。「またコールドになるかもしれない。何とかしなきゃ」
初球ファウルの後、ボールが3球続きカウント1-3。ここで里崎の捕手としての頭脳が、目まぐるしく回転した。「この雨の中で(制球が難しい)変化球は勇気がいる。すでに2四球を出したのに、また四球、まして押し出しはバッテリーにとってキツイだろう」。狙うは直球のみ。集中力が高まったところに、高めの速球が来た。ボール気味だったが「届く範囲なら振る」と決めていた里崎は強振。はじかれたボールはライナーで左翼席まで飛んでいった。
結局、試合は降雨中断をはさみながらも九回まで行われ、ロッテは逃げ切った。バレンタイン監督は「あそこで逆転しなければコールドになっていたかもしれない」と振り返った。一度は雨に痛い目に遭った里崎の、雨を味方につけた一発で、ロッテは交流戦連覇に向け前進した。【神保忠弘】
毎日新聞 2006年6月18日 20時16分 (最終更新時間 6月18日 20時55分)