女子テニスの国別対抗戦・フェド杯で、ワールドグループ1部(トップ8カ国)への復帰を果たした日本女子。16日の入れ替え戦最終日は、メンバー最年少の22歳、世界ランキング68位の中村藍子(ニッケ)がストレート勝ちして昇格を決めた。31歳の杉山愛(ワコール)、30歳の浅越しのぶ(NEC)らに続く後継者育成が急務の国内女子テニス界。次世代のエースとして中村への期待が高まっている。
165センチ、55キロの中村の持ち味はフォア、バックともに両手打ちから繰り出す力強いショットだ。特に、素早く回り込んでフォアハンドから打ち込むストレートとクロスには光るものがある。
プレースタイルには、幼いころからこだわりがあった。変則とみられていたフォアの両手打ちは、片手打ちに比べて届く範囲が狭まるため、周囲から何度もやめるように言われたという。また、強い球をひたすら打ち込むのにも「つなぐテニスの方がいいのでは」と指摘されることもあった。
しかし、小学生のころからプロ選手になることを意識していた中村は「今勝つことだけ考えても意味がない。将来勝てたらいい」と、「両手での強打」を貫き通した。当時、両手打ちのモニカ・セレシュ(米国)が活躍していたことも励みになった。
今年は1月の全豪オープンで3回戦進出。フェド杯でも昨年のブルガリア戦、今年4月のスイス戦、そして今月のオーストリア戦と、3戦連続で日本の勝利を決める試合で白星を挙げた。「壁はまだ感じていない。テニスを辞めたいと思ったことはない」と話す中村の目標は世界ランキング50位以内。これまでは1月の54位が最高だ。
将来の目標は「WTA(女子テニス協会)ツアーで優勝して、トップ10入りすること」。そのためにも「サーブを磨いて、もっとパワーをつけたい。スライスなど、応用が利くテニスをしたい」。どん欲な姿勢で課題克服にも取り組んでいく心積もりだ。【山本亮子】
毎日新聞 2006年7月25日 10時00分