「あの日を忘れず、語り継ぎたい」。思いを込めて歌う戸水さん(左)=名古屋市西区で12日午前6時10分、浜名晋一写す
東海豪雨6周年の12日早朝、被災経験を語り継ごうと、名古屋市西区あし原町の新川決壊現場近くに建つ「水害之碑」前で、地元住民が鎮魂歌の合唱を行った。
約40人の住民が、ろうそくを手に水害で命を落とした人々に黙とうを捧げた後、唱歌「故郷」や水害後、被災地に流れ付いた球根から咲いたスイセンをモチーフに地元音楽家が作詞作曲した「水仙-風に光る花」を合唱。被災者への鎮魂と水害からの地域の再生を歌い上げた。
合唱は「東海豪雨を語り継ぐ会」のメンバーで愛知県清須市議の戸水純江さん(63)らが呼びかけた。東海豪雨に際しては、西枇杷島町(当時)にあった戸水さんの自宅も床上浸水。「なぜ、雨がこんなに降るのか」。戸水さんは不安の中、家族4人で近くのスーパーマーケットの屋内駐車場に避難したという。水害後は毎年この日に、合唱や炊き出しなどを行ってきた。戸水さんは「あの経験を無駄にしないために、水害を次世代に語り継ぎたい」と話している。【浜名晋一】