第79回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)は23日、32校が出場して開幕する。高校通算本塁打を72本まで増やした中田が軸となる大阪桐蔭(大阪)、大会屈指の左腕・近田が注目される報徳学園(兵庫)が実力的には2強と見られる。しかし、本格派右腕・佐藤由を擁する仙台育英(宮城)や昨秋の関東大会覇者、千葉経大付(千葉)、8強入りした昨夏の主力が残る帝京(東京)、中国大会を制した広陵(広島)、明治神宮大会優勝の高知(高知)、熊代が投打の柱となる今治西(愛媛)なども優勝争いに絡んできそうだ。
大阪桐蔭は昨秋の公式戦で33本塁打を放った超高校級の強力打線。中田だけでなく、他の野手陣のレベルも高く、中田が勝負を避けられたり抑えられても得点能力は高い。ただ、エースナンバーをつける中田は右ひじに不安を抱え、大会前の練習試合では1試合(3イニング)に登板しただけ。万全の状態ではなく、右の那賀、左の石田や2年生の奥村、福島ら複数投手で乗り切ることになりそうだ。同じAゾーンには日本文理(新潟)の栗山、仙台育英の佐藤由、今治西の熊代といった好投手がひしめき、波乱含みだ。
報徳学園は、近畿大会決勝で大阪桐蔭を2安打に抑えた近田に関心が集まるが、2年生右腕の岡田に加え、3年生で右横手投げの福島が調子を上げてきたのも大きい。打線も1番・竹田を軸に切れ目がなく、投打にスキはない。同じBゾーンでは千葉経大付も有力。エース丸や1番・松本ら昨夏の甲子園を知るメンバーが残り、総合力は高い。
Cゾーンは、広陵-成田(千葉)の顔合わせが注目される。3番・土生らミートのうまい打者がそろう広陵打線に対し、大会屈指の本格派右腕として注目される成田の唐川がどんな投球を披露するか。帝京は、剛腕・大田と安定感のある左の垣ケ原の組み合わせで失点を最小限に抑えたい。打線は出場選手の中で最高打率5割9分4厘を誇る4番・中村を軸に機動力もある。
Dゾーンの高知は5季連続出場の関西(岡山)と対戦する。関西は1年夏から甲子園のマウンドを踏む中村が健在。「秋の王者」となった高知は、国尾、森田の両右腕を擁し、投手戦も予想される。東邦で89年春を制した名将・阪口監督率いる初出場の大垣日大(岐阜)は攻守に鍛えられ、不気味な存在だ。
この他では、左腕・古谷-川辺のバッテリーが安定している日大藤沢(神奈川)、積極的な打撃が持ち味の常葉菊川(静岡)や夏春連続となる熊本工(熊本)、初出場ながら強力打線を擁する市川(兵庫)なども上位進出をうかがう。
【滝口隆司】
毎日新聞 2007年3月21日 17時25分 (最終更新時間 3月21日 18時55分)